茶碗を落としたら
歳を取ると手の筋力も衰えるらしい。
うっかり手を滑らせて茶碗を落として割った両親をどうすればいいか。
まず、布団たたきでお尻を叩かねばなるまい。
わたしは確かに素手で叩かれた。
けれど、3歳のわたしと30代の親では力のさは歴然である。
痛くて泣きわめいたのだから、加減はないに等しい。
だから、わたしは布団たたきで叩いてやるのだ。
叫べばいい。
もっと叩くだけだ。
そして、おもむろにフォークリフトの先に彼らを吊るすのだ。
本当はクレーン車がいいのだけど、それでは目立ち過ぎる。
だから中古のフォークリフトに彼らを引っさげ、ドブ川に向かう。
「反省しろ!ぶん投げるぞ〜!」と叫んでみる。
このまま沈めてしまってもいいのだけれど、それは犯罪だからね。
わたしがされたのは父親に引っ掴まれて投げるフリ。
でも、体重を考えるとわたしの身体でそれは無理だ。
だから道具が必要なのだ。
本当は川岸に住んで、軒の下はすぐに川っていうのが便利なのだが。
幼児はまだしっかり重い陶器の茶碗をつかめない。
落として折檻する親は、当然自分たちが高齢になってそうなった時に
同じように折檻される覚悟があるんだろう。
「人にされて嫌なことはするな」と殴ったくらいだ。
されてもいいと思ってしていたに違いない。
ドブ川の上で怒声をあげる親を見ながら、もう少し反省してもらうことにした。