尊厳を破壊する
歳を取るといろいろとゆるくなるらしい。
お漏らしをしたり、いずれはおしめになるんだろう。
わたしは物心ついて以降お漏らしの経験はない。
でも、おねしょはあった。
その時にされたことを全部返さなければいけない。
おねしょをしたら近所中に響く声で言わなければ。
「まったく、犬や猫でも寝ションベンなんてしやしないよ」
「ああ〜臭い臭い」
「あんたには布団なんて要らないね!」
「こんなもん干したら近所の笑い者だよ」
「どうせするんだからこのまま寝りゃあいいんだよ」
年寄りの介護でよく言われる言葉。
高齢者にもプライドがある。
尊厳がある。
それを傷つける言動はいけない。
子供はいいのか?
年齢を重ねた尊厳を守ってもらえるのは、子供の尊厳を守った人だけ。
そうそう。
父親が下血したら「うんこ漏らし」と言わなければ。
生理で汚した下着をそっと洗濯物に紛れ込ませた時、それをわざわざ見つけ出し
指でつまみ上げると弟を呼び
「見てみろ。お前のお姉ちゃんはうんこ漏らしだ」と笑った。
バカな弟も一緒になって笑った。
寝ションベンババアとうんこ漏らしジジイとにやにや笑いながら言わなければ。
あいつらに尊厳や思いやりは不要なのだ。